WEEKLY 週ちゃん 勝手に五七五感想
普段週ちゃんは読んだり読まなかったりなんですが、北区の帰宅部さんのブログを読んでて結構面白い企画だなと思ったので、しっかり読んだ上でその感想をば。
blog.com/entry/2020/08/14/010447
東軍
最優秀賞 「八月の 値段半額 虫ゼリー」
初っ端から名句キタコレ!!夏の終わりを半額になった虫ゼリーで表現するのがすごくおしゃれ。かなり鋭い視点ですよね。虫を飼ったことない自分のような人間でも、あー虫取りシーズンが終わってるから夏も終わりなんだな、と容易に想像できてしまう。そして句から溢れ出す少年感も少年ジャンプの読者参加企画の雰囲気とマッチしててベリーグッド!!
「昼飯に 冷やし中華 週三」
いくつか五七五のルールを逸脱している句はあったけど、この句は若干異質。というのも「昼飯に 冷やし中華を 週三度」みたいにすれば、意味を全く崩すことなく五七五の形にすることができるんですよね。ここに作者の「ルールは知ってるけどあえて守ってないんだぜ」的な強い主張を感じて良いと思います。多分尾崎です。
「アイスより しゃぶる校帽 ひもの汗」
これも最優秀賞と同じで日常のあるあるを切り出した句。恥ずかしながら自分も小学校低学年の頃はやっていた記憶がある…。無意識の内にやっていたので、おそらく体が塩分を欲しているんでしょうね。
「夏だから 街にライオン 解き放つ」
分かるような分からないような…いややっぱり分からん!!初めて動物園に行った少年が、その日の夜見た夢、みたいな場面を想像したけど真相やいかに!?難解さのレベルが絶妙。ふわふわ高揚してる感じが良いと思います。
「汗ばんで ソファにもたれて 背中ベチャ」
あるあるその3。クーラーのガンガン効いた部屋だと背中ベチャが超冷たくてめちゃくちゃ気持ち悪いですよね~。体をしっかりタオルで拭いたつもりでも、どうしてもベチャってなるんだなこれが。
「クーラーつけ 領域展開 「冷房快適邸」」
笑った。今回の企画の中で一番ジャンプ企画感のある句。部屋の空気が冷たくなっていく感じを領域展開に見立てているのが面白い視点だと思います。呪術ネタを入れたいがために五七五のリズムが壊れてるのもなんか好き。冬に同じ企画があるとしても「暖房快適邸」で送っちゃダメだぞ。
「水着着て たわわに揺れる オレの腹」
個人的には今回の企画の技巧賞。「水着着て たわわに揺れる」まで読んだ時点で大体の人はちょっとエッチな想像をしてしまうと思うんだけど、そこで下五「オレの腹」と続いて、気持ちよく期待を裏切られる。いや、そっちか~い!!!となる面白さ。語順の妙が光ってます。
「肝試し 父取り憑かれ 母爆笑」
父が本当に取り憑かれているとしたら、母がサイコな感じがするし、父が取り憑かれた演技をしているとしたら、仲の良い家族の茶番劇という感じがする。受け取り方一つでこんなにも印象が変わる。頼むからハートフルな家族の句であってくれ~。
「スイカ割り 普通に食べたい 本当は」
まさかのロボ子番外編とネタ被り笑。スイカ割りのスイカって断面がボコボコになって単純に食べにくいし、割った瞬間に細かく分かれたスイカが飛び散るのが勿体なく思っちゃう。やっぱ普通に食べるのが最高よ。
「夏草や 兵どもが 手入れせず」
まさかの本歌取り。本歌は松尾芭蕉の「夏草や 兵どもが 夢の跡」という句(多分)。芭蕉さんの句で本歌取りとはなんと畏れ多い笑。親から草むしりを命令された子供が自然の営みに比べれば我々人類の栄華など一瞬なのだから草むしりなんて無駄なことでしょうと屁理屈をこねてサボったのでしょうか。
「「なぜ買った?」 後の祭の 出店玩具」
これはあるあるですわ~。出店で売ってるものって大体は一週間でゴミ箱行きなのに雰囲気に飲み込まれてなぜか買っちゃうんですよねえ。五七五の型を破る句も多い中で、玩具にトイというルビを打ってまでルールを守ろうと努力する作者の丁寧な性格に微笑ましい気分になります。
「通知表 煮るなり焼くなり 好きにしろ」
これぞまさしく”脱力”五七五。作者の全面降伏感が面白い笑。通知表って成績欄も親に見せたくないけど、性格欄もあんまり見せたくないですよね。僕は大抵落ち着きが無いと書かれていました。裏の意味はうるさいということらしいです。
「曲がれない コーナーキツめの 流しそうめん」
こういうことですね(違う)。
西軍
最優秀賞 「血管に 多量のそうめん 流れてる」
これも名句だなあ。「みかんを食べすぎると手が黄色くなる」の亜種みたいな感じ。血管は普段目にしない分、もしかすると本当にそうめんが流れているんじゃ?という気にさせてくる。視点が面白い句でした。東軍も西軍も最優秀賞は素晴らしいですねえ。
「プール後の 国語の授業は ラリホーマ」
この企画のなかで一番のあるあるかもしれない。プールって他の体育の授業と違って体はさっぱりするから気持ちよくなって眠くなるんですかね?あるあるネタをジャンプと絡めて、かつ五七五も守っている。作者の技術が光ってます。
「扇風機 口を全開 風を食う」
「風を食う」というフレーズの文学的な響きにノックアウト。状況的には子供っぽい感じなんだけど、それをおしゃれに詠むというギャップがとても良いと思いました。
「犬みたいに 舌を出して 身体を冷やす」
この企画でもっとも自由を謳歌している句笑。ここまで自由なリズムで言い切られると逆に読んでて爽快感が襲ってくる。
「深夜アニメ リアタイ視聴で 夏期講習初日遅刻」
下五の詰め込み具合が好き。夏休みなのに授業があるのって不条理ですよねえ。夏期講習の時期ってみんなふわふわしてて、よく先生にキレられていた記憶がある。
「ビート板 かじってみたら ママの味。」
ど、どういう意味!?かじっちゃダメだよ!?ビート板は不二家のおかしじゃないからね!?最後についてる「。」がなんか味があっていいですね。あ、味があるってのはママの味がするってことではありません。
「スイカ割り 誰も割れずに 十時間」
スイカ割りって意外とパワーが必要で難しいですよね。子どもたちが一通り挑戦して割れなかった後に、誰かの父親が割るといういうのが地元では様式美みたいになっていました。たまに子供で割るやつがいるとヒーローみたいに讃えられてた。
「なぜ避ける 汗がでるのは 生きてる証」
サラリーマン川柳かと思ったらジャンプの企画だった。凄く哀愁が漂ってる笑。下五の字余りが作者のやるせない感じとマッチしていて、まさに”脱力”五七五という感じで良いと思います。
「かき氷 ビールをかける 俺の父」
そ、それって美味しいのか?多分ビールキンキンに冷やして飲んだほうが美味しいと思うぜ…!!
「大の字に タイルにホッペ もち全裸」
「もち全裸」が好き笑。皆さんのご想像の通り、もちろん全裸です!!みたいな言い方だけど誰も全裸は想定してないからな笑。
「名古屋では 冷やし中華に マヨネーズ」
シンプルにへーってなった。でも言われてみれば冷やし中華にマヨネーズって全然合いそうだよね。と思って投稿者の欄を見たら岐阜県になってる。ど、どういうことだってばよ…?隣接県ではあるけど、岐阜自体に語れるほどのエピソードは無いってことなのか…?
「黒マスク している女子は カレシいる」
偏見がすごい笑。てか夏関係ねえ!!…と見せかけて、コロナが今夏で終了しますようにという作者の願いが込められている名句なのか…?
「暑いケド そこまで刈るか また五厘」
少年らしい句。自分の意志で五厘にしているわけではないというのが伝わってくる。野球部に入ってて、監督に刈り上げられてるシチュエーションだったりするんだろうか?自分も初めて五厘にしたとき、五厘ってこんなに短いの!?ってビビった記憶がある。翌日大抵友達のタオルを使った摩擦実験の会場にされる。
総評
全体的にレベルが高え~~。特に東軍。少年っぽい句、少年だからこその視点の句が多くて、やっぱジャンプ読者って少年が多いんだなと思いました(当たり前だろ)。
普段あんまり目を通してなかったけど、結構週ちゃん面白いですね。次回から投稿してみようかな。